観葉植物への葉水(霧吹き)の効果

古永店長からのワンポイントアドバイス
葉水(はみず)とは?

店長古永

霧吹きなどで、葉の表裏を濡らす作業を「葉水(はみず)」と言います。
乾燥防止、成長促進が2大メリット。虫の予防ともも言われますが、それはあまり期待ができません。ですが、防虫効果を信じてしまい「やりすぎ」て植物を弱らせてしまう人も。
誤解をときたく、この記事を書きました!

葉水の効果と、誤解

霧吹きで葉の表や裏に水を吹きかける作業を葉水という

霧吹きなどで、植物の葉を濡らす作業を「葉水」と言います。そして、よく言われてる葉水の効果とは以下の4つがあります。

  1. 葉の乾燥を防ぎ、潤いを与える
  2. 植物の成長を促進させる
  3. 葉の汚れを水で落とす
  4. 虫や病気を防ぐ・・・?

よく言われる、葉水の効果。
職業がら、お客さんとよく会話します。そこで感じるのが、「葉水の誤解」です。

私が霧吹きを推奨しない理由と、誤解と感じる点。この記事の最後に、整理して書きたいと思います。

観葉植物専門店の店長が、葉水を推奨しない理由

葉水を毎日与えると、株の内部が溶けてくることも

前提として、葉水は植物にとっては良い作業。否定するわけではありません。
ただ私(e-花屋さん店長)は、葉水は殆どしません。なので、お客さんにも推奨してません。

理由は、

  1. 正しいやり方でないと意味がない。が、正しいやり方は面倒
  2. 部屋の環境(育てる環境)が、葉水を与える環境に適してない可能性がある
  3. 葉水の効果、(インテリア観葉植物では)ほとんど感じない

1、葉水の正しいやり方(面倒に感じる)

小さな霧吹き

写真のようなに、「小さな霧吹きを使い、ちょこちょこ霧吹きするのは間違い」。それでは、葉の汚れが落ちるはずがありません。保湿効果も一瞬です。

ガジュマルへの霧吹き


葉水の正しいやり方は、

  • 葉の表・裏をしっかり濡らす
  • 葉を洗い流すイメージで、水が滴るくらいに濡らす
観葉植物への葉水。正しいやり方

葉水効果を十分に出そうと思ったら、植物を濡れてもいい場所に移動してタップリ霧吹きする必要があります。タップリ霧吹きすると、ミストで壁や床がビチャビチャに濡れます。

私にとって、この作業が面倒で仕方がありません。
植物もたくさん持ってるので、1鉢1鉢しっかり葉水すると、相当時間がかかってしまいます。
園芸書には「葉水は有効」と書いてあります。でもそれをそのまま、お客さんに伝えればいいのか・・・と悩みました。

なのである日、「霧吹不要」で植物に影響がでるか否かを調べることにしました。その実験を始めて10年くらいになりますが、特に植物が弱った印象は受けていません。

葉にたっぷり付いた水滴

2、部屋の環境が、(植物の生産現場ほど)よくない

もう一度言います。私は面倒なので、自宅植物には葉水をしてません。
でも、その作業を面倒と感じない人もいらっしゃると思います。手間を惜しまず、植物のお世話。素晴らしいことだと思います!
実際、プロの生産現場では葉水を活用する農家さんが多いです。生産ハウスは高温になりがちなので、葉水で葉面温度を下げたり、蒸散を助け植物の成長を促進させたりします。

ただ葉水を与える際、最も注意がなのは「環境」です。
生産ハウスと、家庭では「環境が全然違う」ということを理解する必要があります。

よかれと思って与えた葉水も、いつまで経っても葉が濡れたままだと、葉を傷めてしまうことがあります。通気が悪いと、株元が蒸れてしまうこともあります。
なので葉水を与えたいなら、環境整備(与えた水がいい加減に乾く環境)が重要なのです。

そういう意味で家庭は、葉水を頻繁に与えるのにふさわしい環境とは言いづらいです。もし葉水をまめに与えるなら、サキュレーターなどで風をしっかり回す必要があります。

「葉水のメリット」ばかり書かれた記事が多く、それを鵜呑みしてしまい、葉水を毎日・・・みたいな人が多いです。結果、植物を弱らしてしまい、相談がきます。せっかくの植物への愛情が、間違った方向に。非常に残念です。
何とか誤解をとかなくては・・・とこの記事を書きました。

観葉植物が置かれた部屋

3、葉水の効果(インテリア観葉植物では)ほとんど感じない

最後に、まとめです!

もう一度、(よく言われてる)葉水の効果を書きます。
その上で、私が葉水を推奨してない理由を書いていきますね。

  1. 葉の乾燥を防ぎ、潤いを与える
  2. 植物の成長を促進させる
  3. 葉の汚れを水で落とす
  4. 虫や病気を防ぐ・・・?

まず「①葉の乾燥を防ぎ、潤いを与える」という効果。
これはその通りで、効果があると思います。家庭では、部屋の湿度が50%を切る季節も多いと思います。熱帯生まれの観葉植物たち、湿度をもっと欲しがります。

ただ「乾燥してる部屋の湿度を補填する」ということが目的なら、葉水の頻度は多くなるはず。だとすれば、先にも書きました通り「環境整備」が重要です。それができる前提なら、「葉水の効果はある」と言えます。(でもそれより、「加湿器で部屋全体の湿度をあげた方が楽」だと思います)

「②の植物の成長を促進させる」
葉水によっての、成長促進。期待できるとは思います。ただ家庭環境なら、そこまで大きな変化はでないと思います。それよりまずは「環境整備」が重要です。


「③葉の汚れを落とす」効果。
これはその通りなのですが、水をしっかり、しっかり与えないと汚れは落ちません。

葉を拭いて、汚れを落とす


葉の汚れを落とすのであれば、葉を拭いてあげる方法も有効です。
キッチンペーパーなどを濡らして、優しく葉を拭いてあげてください。屋外で、シャワーをかけてあげてもいいと思います。

「④虫や、病気を防ぐ・・・?」

葉水は、「ハダニを防ぐ」効果があると言われてます。ハダニは水を嫌うので。「カイガラムシにも効果」という記事も見ますが、これについてはどういう論理で?と疑問に思います。

どちらにせよ・・・、「防虫効果」はあまり期待できません。何故なら、
葉水を頻繁に行う農家さんでさえ、農薬による消毒を頻繁に行っているからです。要は「葉水だけでは、虫を防げない」ということとなります。

ただ、
卵が先か、ニワトリが先か?ではないですが、
環境をよくすると、虫はつきにくくなります。なので、
「虫が嫌だから、葉水を与える」
というのは間違いで、
「虫が嫌だから、環境整備をする」
というのが正解かと思います。


しっかりした植物を買い求め、それなりの環境で育てていれば、よほどでないと虫はつかないと思いますよ!

店長古永

この記事を書いた人
古永 崇 | e-花屋さん店長

園芸店に勤めて20年。e-花屋さんの立上げて15年となります。
消費者視点を忘れずに、疑問に思うことなどを掘り下げ研究中です!「初心者を中級者に引き上げる」のがe-花屋さんのミッションです!
会社概要

Q&A
A

低温期(12℃以下になる環境)と、
高温期(33℃を超える環境)
は葉水は与えません。

その上で、部屋が乾燥するなら毎日与えてください(午前中に)。
逆に梅雨など湿度が高い時期は、葉水を与える必要はありません。

もっと言えば、葉水は「効果」を理解した上で、与える必要があります。
≫ 葉水の効果と注意点

A

ジュエルオーキッドなど、極端に湿度を好む植物は稀にあります。ですがほとんどの観葉植物は、葉水は不要です。
(不要というか、色々理解せずに与えてしまうと逆効果があるかもしれないので、無理に推奨しない・・・という感じです)

また、

  • 多肉植物
  • サンスベリア

など葉に水を蓄えているような植物は、葉水で逆効果がでやすい植物となります。ご注意ください。

A

必要(葉水を与えないと枯れる)とは言いませんが、葉水を好む観葉植物として、


  • アンスリウム
  • モンステラ
  • ビカクシダ
  • 着生植物(ディスキディア、ホヤなど)


特にホヤなどは、湿度がないと葉が展開しにくいケースがあります。
今回は「葉水は推奨しない」という記事を書いてますが、園芸レベルが上がってくれば「葉水はあったほうがいい」と思われると思います。葉水は、本来のことを言えばプラス作業です。園芸知識が身についてくれば、植物を楽しむ上で効果的な方法だと思います。

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