ハイドロカルチャーの観葉植物

「虫が嫌だから、ハイドロカルチャーに植え替えしたい」と相談されるシーンが多い気がします。
今回はそういった視点でハイドロカルチャーを解説していきます!

店長古永

この記事を書いた人
古永 崇 | e-花屋さん店長(園芸店に勤めて20年となります)


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そもそも、ハイドロカルチャーとは?

ガラスの鉢に植えた観葉植物

ハイドロは水。カルチャーは栽培。なのでハイドロカルチャーとは「水栽培(水耕栽培)」という意味。ただもう少し詳しく言うと、「土を使わず、ハイドロ資材(発泡煉石)を使って植える方法」をハイドロカルチャーと呼んでいます。

※発砲煉石(はっぽうれんせき)とは、粘土状の土を粒状にして高温で焼いたもの。赤玉土などと見た目は似てますが、より硬く、多孔質なのが特徴です。レカトン、ハイドロボール、セラミスなど様々な商品名で販売されてます。

ハイドロカルチャーのメリット・デメリット

メリットは「鉢の自由度」と「虫リスク?」

「鉢底穴がない」鉢でも、ハイドロ資材で植えれば大丈夫

ハイドロのメリットは多いです。ただ、現実的でないことも”メリット”として書かれ、ゴチャゴチャになってる気もしてます。

たとえば「ハイドロボールは劣化が少ないので、何回も使える」という記事。
再利用はできますが、簡単という訳ではありません。消毒などが必要です。なので「何回も再利用してる」という人は少ないと思います。
(不燃物ゴミに出せるので、植物が枯れたら処分する人が殆どです)

むしろそれよりも、

  • おしゃれな容器に植物を植えることができる
  • ハイドロ用土で植えなおすことで、虫リスクが減る

この2点に絞って良いのではないでしょうか。

ハイドロカルチャー植物

※※「鉢の自由度」が上がりますが、ガラス容器は注意が必要です。日当たりに置くと、「藻」が生えたり「カビ」が目立つ可能性が。

デメリット1:植え替えリスクとコスト

ハイドロカルチャーの植え替え方法

「土が嫌だから、ハイドロにしよう」と思うなら、土を全部入れ替える必要があります。
ただ気をつけて!「土を全て落とす植え替え」は、植物を弱らす可能性があります。穴なしの鉢に植えるなら「根腐れ防止剤」が必要。水やりの量や頻度も重要なので、「水位計」はあったほうが便利。

「土栽培から、ハイドロカルチャーへの引っ越し作業はリスクと、コストがかかる」のです。

デメリット2:植え替えした後のこと。

ガジュマルの成長例

ハイドロ栽培は、土栽培に比べ生育が緩慢になります。成長が緩やかになる分、耐陰性も上がり「インテリアグリーン」としての自由度が増します。
こう書くと「メリットじゃん!」と思うかもしれませんが、注意が必要です。

人間と植物は、共同生活。
「土は嫌」「可愛い容器に植えたい」みたいな感じでインテリアに近づけていくことは可能です。植物に「人間に合せて」と我慢してもらってる感じ。

ただあまりに「人間より」にしちゃうと、植物は貧弱になります。調子を崩してしいまいす。そうなると見た目が悪くなったり、葉や幹に虫がついてしまいます。(要はハイドロにしたからと言って、虫問題が解決するわけではないのです)

土の方が管理がしやすい

「健康な状態を維持する」ことが、虫や病気の予防策。
そのためには「植物のことも」考える必要があります。肥料をあげれば解決・・みたいない話でなく、「常日頃の環境」と「鉢の中の状態」が重要なのです。

結論。ハイドロと土、どっちが観葉植物に向いてる?

植物を愛でる生活。ケースバイケースで鉢や土を

ハイドロボールで植えるのか、土で植えるのか。「どっちが優れてる」というよりは、「考え方次第」だと思います。

たとえば「インテリアとして気軽に楽しみたい」ということであれば、ハイドロカルチャーが可能性を大きく広げてくれます。
対し「植物を愛でたい。観賞だけでなく、世話して癒されたい」と思うのであれば「土」の方が植物も応えてくれるかも。

「土をやめれば、虫は出ない」は誤解

観葉植物の土
清潔な配合なプレミアム用土

私がこの記事を書こうと思ったきっかけは、
「ハイドロカルチャーにすれば、虫問題は解決」と誤解してる人が多いからです。土を替えるだけでは、解決にはなりません。

最も本質的な防虫対策は「植物を健康に育てる」こと。そこも理解した上で、ハイドロカルチャーにするなら良いと思います。
「鉢の底に水をためる」のが、ハイドロカルチャーの特徴。ですが普通の植木鉢にハイドロ用土で植え込み、普通の鉢植え同様に(水をためずに)育ててもOK。この方が、植物目線でいえば健康状態を維持しやすいです。

そもそも、土に虫は潜んでいるの?

観葉植物の土の種類
観葉植物の中でも人気が高い、虫がわきにくい土

土に虫が潜んでいる可能性・・・0%ではありません。
ただ園芸店に20年以上勤めてきた経験ベース(卓上サイズの観葉植物に限って)でお話すれば、土から虫が発生するケースは0.1%以下です。
※ただし100均や、安価な植物の場合はその限りではありません。土にかけれるコストが違います。

それでも心配なら、ご自身で「虫がつきにくい土」に植え替えされると虫が発生するリスクはもっと下がります(ハイドロ用土に植え替えるのと同じ論です)

「観葉植物向け・虫がわきにくい土」
について詳しく

いかがでしたでしょうか?

観葉植物専門店で買えば、土から虫がでる可能性はかなり、かなり低いです。
それでも心配なら、「土の入れ替え」は有効です。
ただそこは「ハイドロ一択」ではありません。
「虫がわきにくい土」というのも選択肢としてアリです。

そして、
「植物目線で育てていきたい」なら、土の方が後々の選択肢は広がると思います。
対し「インテリア植物として割り切って育てる」なら、ハイドロの方が自由度が高く遊べると思います。

こういった特徴を理解しながら、「どっちにしようかなー」とチョイスしていくのが園芸の楽しみだと思っております―!

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※e-花屋さんにはハイドロカルチャー植物は販売しておりません。ただハイドロ植物を沢山取り扱ってるお店(ネット通販)はあります。
植え替えが心配であれば、最初からハイドロカルチャーになってる植物を求められた方が良いかとは思います(ハイドロカルチャーに向く植物、向かない植物というのもありますので)

Q&A
A

  • 水耕栽培植物は、鉢植え植物よりも値段が高くなる傾向
  • 植え替える際に枯れるリスクがある
  • 倒すと掃除が大変
  • 商品のバリエーションが少ない
  • 水位計が必要。似合う鉢も少ない
  • 成長が遅く、綺麗な姿で育ちにくい


≫ 育てやすくて、虫もつきにくい土

A

ハイドロカルチャー植物の寿命については、一概に語ることはできません。数か月で枯れてしまうこともあれば、10年以上生き延びたりします。要は「管理次第」となります。
ただ「土栽培」の方が、観葉植物の栽培はしやすく感じます。

≫ 土栽培とハイドロカルチャー。おすすめはどっち?

A

ハイドロカルチャーは「透明な容器」を使えば、管理は楽になります。水の残量が見えるので、水位計も必要ありません。但し水耕栽培向けの用土を使わないと、根腐れ(根が呼吸できずに腐る少々)を起こすことがあります。
植物を育てていると、長期の旅行などで水不足が懸念されます。そういった視点でハイドロカルチャーは人気もあります。ただ2週間程度の不在であれば、土栽培でも問題はありません(室内観葉植物の場合)。

≫ 人気!透明容器で育てるコーヒーの木