「植え替え」と言っても、室内で育てる観葉植物と、外で育てる植物では考え方が異なります。
観葉植物の植え替えについて。
基本的なことから、「大きくしたくない時はどうすれば?」といった番外編まで。
園芸歴20年、e-花屋さん店長が解説します!
この記事を書いた人
古永 崇 | e-花屋さん店長(園芸店に勤めて20年となります)
目次 (クリックでスクロール)
観葉植物の植え替えに必要なものは?
「植え替え」作業は最低限、新しい鉢と新しい土があればできます!
ただ観葉植物用の鉢は、「排水穴が大きい」鉢が多いです。なので鉢底ネットもあるとよいと思います!排水穴をネットで塞ぎ、土の流出を防ぎます。
必ず必要なもの | あると便利な道具 |
鉢 | スコップ(土入れ) |
土 | 土を突く棒(割り箸) |
鉢底ネット | 剪定はさみ |
鉢底石(鉢が小さいなら不要) | 新聞(作業スペースの汚れを防ぐ) |
観葉植物の植え替え。適切な鉢サイズは?
「植え替え前」の鉢サイズを確認、
それから鉢を探す
まずは「植え替えたい植物」の鉢の直径と高さをチェック!そのサイズをベースに、鉢を選んでいきます。(一回り大きい鉢に植え替えます)
「一回り大きい鉢」って?
一回り大きいとは、鉢の直径が3cm大きい鉢のこと。1サイズ=3cmと覚えてください!
例えば、植え替え前の植物が「直径が12cm」の鉢に植えてあるとします。だとすると「直径15cm」の鉢を選ぶ・・みたいな感じです。ただ、「3㎝」というのは目安で前後しても構いません。
植え替え作業の目的は?
観葉植物を植え替える主な目的は、「根の成長スペースを広げること」です。
以前の鉢よりも大きな鉢を用意し、新しい土を入れてあげます。(根が広がるスペースを確保するためです)
このようにして、植物は植え替えのタイミングで大きく成長します。
観葉植物を植え替えする鉢。大きさで注意する点は?
外で育てている植物を植え替える時には、今使っている鉢よりも「2サイズ大きい鉢」を用意します。そのため、観葉植物を植え替えの際もつい大きい鉢を選びがちです。
ですが、室内で育てる観葉植物においては「鉢を大きくしすぎる」のは危険です。
その理由は、土の乾燥スピードにあります。
屋外は風や光が豊富にあるため、土が早く乾きます。一方、室内は光や風が少ないため、土がなかなか乾きません。大きな鉢にすると、土の量が増えてしまい、さらに乾燥が遅くなってしまうのです。
結果、根腐れのリスクが高まってしまいます。
観葉植物、植え替えのコツ(応用編)
2サイズ、もしくは背の高い鉢に植え替える場合
大きな鉢を使いたい場合は、植え替え方法を工夫することで「土が濡れている時間を短くする」ことができます。
たとえば、鉢底石をたくさん敷くと、鉢の中に入る土の量も少なくなるので、土が早く乾くようになります。
また、「水はけが良い土を選ぶ」ことも大切です。
「鉢のサイズを大きくしない」植え替え
「鉢を大きくしたくない」。そんな声(ニーズ)が増えてきています。
ずっと鉢を大きくしない・・・というのは難しいですが、観葉植物の特性を上手く利用すれば、鉢のサイズはある程度は維持できます。
「鉢のサイズを変えない」場合は、根鉢をほぐして、古い土を落とします。また、作業の際には不要な根も切ってあげます。
そうすることで、鉢の中には新たなスペースが生まれます。そこに新しい土を入れれば植え替え完成。盆栽に似た植え替え方法です。
「鉢を大きくしない植え替え」ポイント
- 時期に注意(適期は5月~7月)
- 古い土は丁寧に落とす。長く伸びすぎた根はカット
- 新しく入れる土は、無機質で硬い土がおすすめ
- 植え替え作業後は、剪定して「葉の数も減らす」
- 植え替え後しばらくは半日陰で安静に
に挑戦してみました
「観葉植物の植え替え」におすすめの土
観葉植物を植え替える場合は「観葉植物用の土」がおすすめ。
よくある培養土くらべて何が違うかというと、
- 保水性より、排水性を重視している
(早めに土が乾く) - 清潔で虫が出にくい
(腐葉土や動物性堆肥を配合していない)
という点です。さらに観葉植物の土のなかでも、配合バランスの違いにより
「より、排水性が高い」「より、虫がわきにくい」みたいなことがあります。
「観葉植物の土」選ぶポイント
- 赤玉土が主の配合がお勧め
(団粒構造で通気・排水性が高い) - 安価な土は劣化も早いので注意
(赤玉土でも値段で品質が異なる) - 小さい植物は「小粒」が使いやすい
観葉植物を植え替える適期はいつ?
観葉植物の植え替え。園芸書には、「春か秋に」と記載されてます。ただそれでは、説明が不十分だと感じてます。「なぜ植え替えするのか?」そんな視点から、植え替えできる時期を解説していきます!
インテリア目線の鉢替えはいつでもOK
観葉植物を買った際、「お洒落な鉢に入れ替えたい!」と思うシーンがあります。こんな時は、いつ植え替えても大丈夫!(根を触らないように注意しながら、そっと植え替えてください。簡単なので初心者さんでも安心してください)
インテリア目的の「鉢替え」手順
- 根を傷めないように、そっと鉢を外す
- 根鉢は崩さず、そのまま新しい鉢に
- 隙間に新しい土を詰める
※鉢のサイズによっては、鉢ごとスッポリ入れることもできます(鉢カバー)
「植物の成長を良くする」ための植え替え
植え替えにより、下記のような成果を期待する場合は「土を大幅に入れ替える」必要があります。(作業適期は5月中旬~6月。この時期の作業が失敗リスクが減ります)
土を大幅に入れ替える「植え替え」手順
- 根を傷めないように、そっと鉢を外す
- 丁寧に古い土を落とす
- 伸びすぎた根、傷んだ根をカット
- 新しい鉢に、新しい土で植えなおす
- 古い葉っぱ、不要な枝をカット
土を大幅に入れ替える「植え替え」手順
- 根を傷めないように、そっと鉢を外す
- 丁寧に古い土を落とす(完全に落とす必要はない)
- 長く伸びすぎた根、傷んでいる根をカット
- 新しい鉢に、新しい土で植えなおす
- 下葉(古い葉っぱ)や、不要な枝をカット
観葉植物の植え替えリスク
「植え替え」で、植物は元気を取り戻すことは多いです。
ただ植物が弱っている原因によっては、「植え替え」で改善しないケースもあります。もっと言えば、「植え替え」で更に弱ってしまうケースもあります。弱ってる植物に対し、どのようなアプローチをとるか。時期や植物の様子を見ながら判断することが大切です。
植え替えの準備
「根詰まりしてる」「根腐れで調子を崩した」など急を要する場合は仕方ありませんが、植物が元気で計画的な植え替えを考えている場合は、しっかりと「準備」を行うことが大切です。
具体的には、約1ヶ月前から日光を浴びせて、肥料も少しずつ与えておきます。
これによって植物の力が増し、植え替えの際に剪定を行っても新しい芽が元気に育つことが期待できます。計画的な植え替えの準備をすることで、その後の生育をサポートしましょう。
植え替えのタイミング
「鉢の底から根が出てきた」そんなシーンに出くわすこと、ありますよね。
ただそれは、根詰まりの症状(植え替えサイン)とは限りません。植え替えしなくてもよいケースが多いです。
- 水やりしても、すぐに乾く
- 土が硬くなり、水を吸いにくい
- 水を与えてるのに葉がシャンとしない
こんな感じがしたら、植え替えを検討するタイミングです。植え替えを機に、植物が復調する可能性があります。
観葉植物を植え替える目的とは?植え替え後の水やり方法
「水を与える時には、タップリと」と言いますが、植え替え直後はとくにタップリ与えてください。ジョーロ3杯くらいは与えてほしいです。植え替え作業で発生した、土の微塵を洗い流します。
作業の注意点は、「水圧の優しいジョーロ」で水を与えること。
水圧が強いと、土のなかに水路(みずみち)ができてしまいます。そうなると水はこの路ばかり通るようになり、全体の湿り具合にムラができる可能性がありますので。
いかがでしたでしょうか?
植え替え作業に「基本」はありますが、もっと柔軟であって良いと思います。
「プラスチックの鉢は通気がよくない」「セメントの鉢は●●」
みたいな、細かいことを言い出すとキリがありません。
「良い環境で育てる」「良い土を使う」
この2点を守れば、及第点は十分にクリア。観葉植物ライフが楽しくなると思います!
ではまた!
e-花屋さん 古永(ふるえ)でした!
この記事を書いた人
古永 崇 | e-花屋さん店長
園芸店に勤めて20年。e-花屋さんの立上げて15年となります。
消費者視点を忘れずに、疑問に思うことなどを掘り下げ研究中です!「初心者を中級者に引き上げる」のがe-花屋さんのミッションです!
Q&A |
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成長期の5月~9月が植え替え適期です。鉢替えだけなら、根の負担がかかにくいので冬でも作業可能です。※観葉植物は最低気温が15℃を下回ると成長が鈍るので、秋~冬は無理に植え替えする必要はありません。 バーク堆肥は食物繊維が多い、微生物を多く含んだ堆肥です。 腐葉土と同じような効果が見込めますが、腐葉土は窒素成分が多いのに対して、バーク堆肥は炭素成分が多いので、育てる植物によって使い分けてください(観葉植物ではまり利用されません)。 観葉植物の植え替え、根鉢を触らずに(土を崩さずに)そっと植え替えるのであれば通年作業は可能です。 ずっと同じ土や鉢で管理し続けていると、
などが起こります。 観葉植物の株分けは、植物の種類によって方法が異なりますが、一般的には5月~7月の暖かい時期が適しています。(小さい株は、無理に株分けしないように)
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