ストーリーが詰まった、フィカス・ナナ

長く観葉植物のバイヤー（仕入れ担当）をしてますと、「商品の向こう側」を知りたくなります。なので月に1回くらいは、全国の色々な農家さんを訪ねてます。
そのなかで、4年ぶりにお邪魔したのが愛知県の鈴木さん。頑固一徹の職人さん、会いたくてもなかなか時間を作ってもらえない方です。（笑）

久しぶりに会い、やっぱり「すごいな―」と感動しました。鈴木さんのナナ、ナナの中では1番好きかもしれない。

ミドルサイズの割には、幹が太くてしっかり。
それには、理由があります。

鈴木さんは「ベンジャミンの作り手」として、日本トップクラスの評価を獲得してる農家さん。ナナもベンジャミンと同じフィカス属で、特性が良く似てます。（個人的には、ベンジャミンより育てやすいと思ってます）

鈴木さんの何が凄いかって、1鉢にかける手間・時間が物凄い。
農家を始められて50年。生産方法が（いい意味で）昭和の時と変わってません。口癖は「儲からない」。そんなに時間をかけてたら、そりゃ儲からないだろう・・・と思います。
でも鈴木さんは頑固一徹。手を抜かないのです。

一般的に6号サイズの観葉植物だと、農家さんが費やす生産時間は6か月～12か月くらい。対しこのナナは、30カ月もかけてます。

１、挿し木して、大きく育てる
２、それを3鉢寄せ植えにして（編み込んで）1鉢にまとめる
３、それから畑に植える（畑に植えると、幹が太くなるため）
４、寒くなる直前に畑から掘り出す。冬～春の間は、温室で新しい葉に入れ替える。
５、出荷前に、綺麗な土と鉢に植え替える。

6号サイズの植物にこれだけ手間をかけてる農家さん、僕は他には知りません。私が総理大臣なら、鈴木さんに賞をあげたいです。

Ficus Nana.